経営危機やリストラに直面したとき、
多くの経営者やビジネスパーソンは強い不安と恐怖を感じます。
特に中小企業の経営者の場合、日々の資金繰り、取引先への支払い、銀行返済、従業員の給与支払いなど、複数の重要課題が同時に押し寄せてきます。
そのような状況下では、どこから手をつければよいのか分からず、パニック状態に陥りやすいものです。
このような危機的状況で最も重要なのは、冷静な判断力を保つための「平常心」です。
しかし、「平常心を保て」と言われても、具体的にどうすればよいのか分からない方も多いでしょう。
本記事では、アメリカCDCの危機管理プログラムで実証された方法論と、
実際の経営危機を乗り越えた私自身の知見を組み合わせ、実践的なアプローチを提案します。
Contents
1. 最悪のシナリオを明確化にして、社員にもそれを伝える
多くの人は「最悪の事態」を考えることを避けようとします。また、隠そうとします。
しかし、逆説的ではありますが、
最悪のシナリオを具体的に把握して、関係者とそれを共有することで、むしろ心の安定を得られることが多いのです。
たとえば、倒産や自己破産のリスクが現実味を帯びてきた場合、最悪のケースを想定して、
起こりそうな未来を、紙に書きだしていきます(ノートにボールペンで書くことが重要です)。
何が一体不安なのか、倒産したら会社はどうなる。社員への給与が未払いなことは?
取引先へ払えていない請求書は?
銀行、信金や公庫への借入金の返済は?
さらに、会社の破産手続きを進めるとしたら、
弁護士への相談費用、裁判所への手数料、そして予納金?
そして、恐ろしいのが、連帯保証をしているときに、会社が破産したら、
自分も自己破産しないといけない!
そうなったら、自分の生活費や、住んでいる家はどうなるのか?
こういったことは、ネットで検索したり、
ユーチューブで体験者の動画を探して、情報収集ができます。
ただし、恐ろしいばかりではなく、
また、経営者ガイドラインなどの制度を利用することで、ある程度の資産が保全できたり、
生活再建の道筋を立てたりもできます。
重要なのは、このプロセスによって、漠然とした不安を「見える化」することです。
そうすることで、「最悪の場合でも、これ以上悪くはならない」という腹落ちが得られ、
心理的な安定につながります。
さらに、再起に向けた選択肢も見えてくるはずです。
一番よくないのが、頭の中をぐるぐると回わる不安のスパイラスから抜け出せず、
正気を失うことです。
うつ状態、パニック状態で、致命的に間違った判断をすることや、
末期症状まで、問題解決を先送りすることが、一番よくないのです。
また、組織においては、社長の口から社員に、危機的状況を正確に伝えることが重要です。
2. 状況の不確実性を理解して、問題を解決するプロセスを関係者と共有する
危機的状況に直面すると、人々は往々にして二つの極端な反応を示します。
一つは「なんとかなるはず」という根拠のない楽観主義、
もう一つは「もう終わりだ」という極度の悲観主義です。
あるいは、この2つを行ったり来たり、極端から極端にぶれぶれに、なってしまいます。
現に、私にもそうした経験があり、夜も眠れない日々が続きました。
しかし、どちらの態度も適切な問題解決の妨げとなります。
CDCのプログラムが推奨するのは、
「状況の不確実性を認識しつつ、問題を解決するプロセスのみを伝える」というアプローチです。
やってはいけないのは、必ず倒産の危機から脱するとか、根拠のない約束をすることです。
具体的には:
・現状分析
・手元の現金残高
・今後の入金予定
・支払い義務がある金額と期日
・取引先に支払いを待ってもらえるか相談する(月末払いを翌月5日にしてもらうだけでも効果がある)
・実行可能な対策の洗い出し
・銀行へ追加融資の打診する(ファクタリング等、銀行以外の融資も検討する
・支払いサイト・条件の見直し交渉(末締め翌末払いを、末締め、翌々末払いへ)
・不要資産の売却検討
・デッドラインの設定
特に重要なのは、関係者とのコミュニケーションです。
取引先や金融機関に対して、現状を正直に説明し、具体的な改善計画を示すことで、協力を得られる可能性が高まります。
「困っている」という事実を隠すのではなく、「こうやって改善していく」という意思と計画を示すことが、信頼関係の維持につながるのです。
3. その取り組みによって、問題解決が進んでいることを、経理データなどを開示する
危機的状況を乗り越えるためには、感覚的な判断ではなく、数値に基づいた冷静な進捗管理が不可欠です。
特に資金繰りに関しては、以下のような具体的な管理方法を実践することをお勧めします:
・日次の資金管理
・毎日の現金残高確認
・入金予定の進捗チェック
・緊急支払いの把握
・取引先からの入金状況モニタリング
・改善策の効果測定
・次月以降の計画修正
特に重要なのは、これらの数値を「見える化」することです。
エクセルなどを使って、グラフや表にまとめることで、改善の進捗や課題がより明確になります。
また、チームメンバーと情報を共有する際にも、具体的な数字があることで、より建設的な議論が可能になります。
4. 倒産・リストラへの恐怖を認め、目の前の恐ろしい事態に関連する情報を提供する
例として、脳科学者の苫米地博士は、著書『「イヤな気持」を消す技術』で、
3.11の危機的状況で「半減期とは何か」「モーメントマグニチュードとは何か」といった情報を大量にブログで発信することで、
視聴者からは、なぜか安心したという感想をもらったと書いています。
ここでは、仮に給与の不払いがあっても、「未払賃金立替払制度」があるとか、
失業保険の制度、「特定受給資格者」で7日間の待期期間後から失業手当の支給が開始される。
さらに、生活に困ったら、国の「生活福祉資金貸付制度」などの情報を発信する。
経営者自身も、
「経営者保証ガイドライン」の返す時(経営者保証を履行する時)を知ることで、心の平安の助けとなります。
https://www.chusho.meti.go.jp/kinyu/keieihosyou/
5.精神的なストレスが判断力を鈍らせる最大の要因
精神的なストレスが判断力を鈍らせる最大の要因となります。
特に夜間や一人でいるときに、ネガティブな思考が増幅されやすい傾向があります。
人によっては、過度の飲酒に繋がり、それが朝起きれない、仕事に集中できない悪循環につながります。
これに対処するための具体的な方法として:
・感情管理の実践
・朝型の生活リズムを確立する
・運動や散歩で気分転換を図る
・信頼できる相談相手を確保する
・睡眠時間を確保する
・効果的な情報収集
・専門家の意見や体験談を集める
・メンタルヘルスケア
・定期的な休息時間の確保
・ストレス解消法の確立
・家族との時間の確保
・必要に応じて専門家への相談
特に就寝前の時間帯は、不安が増幅しやすい時間帯です。
この時間には、あえてビジネスのことを考えないようにし、趣味や将来の楽しみなど、ポジティブな事柄に意識を向けることを心がけましょう。
元巨人軍監督だった、原監督は、東海大学の野球部監督だった、父より寝床で横になって仕事(野球)のことは考えるな!
どうしても、考えたかったら、いったん起きて、机に座って考えるようにアドバイスをもらい、それを監督時代に守り続けたそうです。
私自身も、会社再建の難しいかじ取りをしていたころは、
ベッドに入ってからは、仕事をのことは考えないようにしていました。
眠りにつくときは、お金が入ったら、こんな車を買いたいなとか、こんな間取りの家を建てたいとか、
楽しい夢想をして、眠りにつくように心がけていました。
まとめ:危機を乗り越えるための実践的アプローチ
経営危機やリストラに直面した際、多くの人が強い不安と恐怖に駆られます。
しかし、危機的な状況においても、冷静な判断力と具体的なアプローチを持つことで、再建の道筋を見出すことができます。
この記事では、以下の5つのポイントに基づいた解決策をご紹介しました。
最悪のシナリオを明確化し、関係者と共有する
漠然とした不安を「見える化」することで、心理的な安定を得られ、冷静な判断が可能になります。
不確実性を認識し、問題解決プロセスを共有する
関係者と正直に現状を共有し、実行可能な改善計画を示すことで、協力を得られる可能性が高まります。
進捗管理を数値で「見える化」する
資金繰りや課題の進捗を具体的なデータで管理することで、問題解決が効率化されます。
恐怖を認め、正しい情報を提供する
制度や支援策を活用し、現実的な選択肢を提示することで、不安を軽減できます。
精神的なストレスを管理する
健康的な生活習慣や感情管理を実践し、判断力を維持することが重要です。
危機的な状況では、行動しないことが最も危険です。
不安を抱えたまま先延ばしにするのではなく、今できる一歩を踏み出すことで、再建への道が開かれます。
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